さて、“ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソンといえば、世界で最も有名なプロレスラーであり、且つ現代のアクション映画を先陣切って引っ張る俳優だ。80〜90年代に数々のアクション映画に出演したシュワ&スタローンたちの正当な後継者とも呼ぶに相応しい、ビルドアップされた身体でなんでも解決してしまうような現代の脳筋アクション映画の代表格の俳優だろう。
身長2m近い巨体と、明らかに首の骨を外しにかかっているチョークスリーパーでよく分かるバカデカい筋肉、プロレスの挑発で鍛えられたかのようなパワフルな(そして意外と上手い)演技など、スポーツ選手からの俳優転身という経緯で考えると、オンリーワンとも言うべき存在感のドル箱スター俳優となった。
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本場ハリウッドでは初主演作『スコーピオン・キング』から、飛ぶ鳥を落とす勢いでビッグバジェットのアクション映画俳優として名を馳せたが、実は日本では昨年ヒットした『ジュマンジ:ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル』がヒットするまではやや認知度が低かったりもする。
人気の『ワイルド・スピード』シリーズにも5作目の“MEGA MAX”から出演していたが、(出演情報に関してだと)欧米では熱狂的に迎えられたものの、日本においては「誰?あのハゲ&マッチョなおじさん?」という雰囲気になっていたのは言うまでもない。それは2013年の傑作クライム・アクション映画『ペイン&ゲイン』(主演はマーク・ウォールバーグ)が、日本では劇場未公開作となったことからもよく分かるところだ。
そんなに日本でも前述の『ジュマンジ:ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル』を代表とする映画など、日本でもヒットした話題作に多数出演したことにより、ここ日本でも“アクション俳優”としての認知を確立してきた。そんな“ザ・ロック フィーバー”と言うべき今日で、先日9月21日に公開されたのが最新作『スカイスクレイパー』だ。これがまごう事無きバカ映画だったので、これは紹介せざるを得ないと思い、様々な面からこの映画を紹介。
ぜひ、このブログを踏まえた上で、皆様に映画を観て頂きたい。
当然だが、ネタバレの嵐である。
あらすじ
かつてFBIの人質救出部隊のリーダーとして活躍していたウィルは、ある事件で左脚が義足になる大怪我を負い辞職するが、それから10年を経た今は、愛する家族も得て、危機管理コンサルタントとして働いていた。香港に建設された高さ3500フィート(1066メートル)の史上最大のビル「ザ・パール」の本格開業に向け、ビルのオーナーのジャオから安全管理のチェックを任されたウィルは、家族を伴ってザ・パールに滞在するが、ビルに隠されたある秘密を狙う犯罪組織もまた、ザ・パールに侵入しており……。
※あらすじは「映画.com」より転載
出演者・スタッフ情報
監督はローガン・マーシャル・サーバーという、『フレンズ』で知られるアラフィフ女優ジェニファー・アニストンに無駄すぎるストリップ演技をさせた『なんちゃって家族』を監督した人。プロデューサーはローガン監督本人と、我らがザ・ロックことドウェイン・ジョンソン本人。
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「本人がプロデュースをした映画」という事実でも分かる通り、ザ・ロックがとにかく力を入れて出演した映画なのは言うまでもない。まあ、プロデューサーとは言いつつも「結構ギャラ貰ってまっせ!」という肩書きみたいなものだろう。それもあってか主人公の“ウィル・ソーヤー”の役をウッキウキで演じており、完全なる“俺様映画”となっている。
妻のサラを演じたのは『スクリーム』の可愛いお姉ちゃん役で有名なネーヴ・キャンベル。「『スクリーム』以外でなんか出てたっけ?」と思ってしまうくらい代表作が思いつかない女優さんであるが、一定の映画好きであれば「うわあ、スクリームの子懐かし〜」となるのは間違いない。だいぶ老けていたけど。
物語の舞台となるビルを創設した、ある意味最大の戦犯と言っていいビルのオーナー“ジャオ”を演じたのは、最近の香港・中国が舞台のハリウッド映画には必ず顔を出している雰囲気のあるチン・ハン。映画好きの人なら、『ダークナイト』で札束と共に豪快に燃え死んだ中国人会計士ラウ役といえば思い出す俳優だろう。
まあ、後は正直知らない俳優ばかりだったので紹介は控えよう。
だって、ザ・ロックの映画だもん!
凄まじい映画だった!
さて、どのように凄かったかを余すところなくご紹介したい為に、僕チンはこの映画のポイントを11の項目に分けてみました。
これで観たくなる事間違いなし!
片足がない主人公
あらすじでも書いた通り、現代最強のアクション俳優“ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソン演じるウィルは、なんとオープニングの場面となっている10年前の特殊部隊時代に足を失ってしまう。これがまた「意味あるぞ〜」的な描かれ方をされているのだ。割と尺も長い。
で、この足がない設定が本編内でどのように生かされるのか、観ている側はオープニングでワクワクしてしまうワケだが、映画が終わってみると全然そんな事気にならないくらい影が薄い設定だったのだ。
そもそも足を失う理由は、主人公ウィルの状況判断ミスが原因。ウィルが映画中で1ミリ足りとも頭を使わないという、全編要所で発覚するバカっぷりの伏線といえば伏線なのかもしてない。全ては後述。
さて、話を戻そう。
不慮の事故で足を失った為、当然ウィルは義足をしているのだが、この義足が活躍するのは僕が覚えている限り2回しかない。「ウィルがビルから落ちそうになった時のロープ代わり」と「閉じる扉を支えるつっかえ棒代わり」の2回。
なんだその義足?
プラチナとかで出来てんの?
いずれの場面も義足とは思えない、あり得ない強度を発揮する。とはいえこの2回の場面、いずれもちょっとした場面。やはり、ウィルは無駄に足を失ったように思う。残念だなあ(鼻ホジ)。電車で例えたら、「東京駅から有楽町駅まで山手線を使って移動する」くらい無駄である。
ちなみに、オープニングで足を失った元特殊部隊員のウィルは、危機管理コンサルタントに転職して事件の舞台となる“ザ・パール”に赴任することになる。で、妻や子供と共に住居人の第1号として歓迎される。
メチャクチャ大出世してるじゃねえか!
忘れられた経歴
設定の無駄は主人公だけではない。ネーヴ・キャンベルが演じるサラは、元々はアフガン紛争などにも出向いたこともある、軍の敏腕看護師をしているという設定がされている。こちらもオープニングで割と時間を割いてキッチリ説明されている。もちろん観ている側は「ハハ〜ん。経験を生かして主人公とかの治療しちゃうんでしょ〜?」と思うワケだ。割とそんな期待感を煽るオープニングの展開。
まあ、その後は看護師という事実は完全に忘れてしまっていたけど。
オープニングはウィルとサラの結婚の理由となった場面としても存在しているワケだが、とはいえその「結婚」という場面にしか、このサラが敏腕看護師であったという設定に対し機能してない。つまり割と序盤で、その後の展開に大事に出来たであろう設定をあっという間に消化してしまっているのだ。
もっと言えばこのサラ、輝かしい経歴の割に再起動すれば速攻直るiPhoneの単純エラーすらまともに直せない機械オンチなのである。そんなポンコツ女が、何故アフガニスタンまで行くほどの敏腕看護師になっていたのかは甚だ疑問である。機械が弱い僕の母親以下である。
ただ、このポンコツ妻サラのおかげで、“ザ・パール”の騒動を意外なカタチで収束することになる。一応、結末は敢えて言わないでおこう。
壮大すぎるビルの設定が全く活かされない展開!
舞台のとなる“ザ・パール”は3500フィート(1066m)の世界最大の巨大ビルという設定だ。もちろん、現実には存在しない。序盤では嫌味なくらい「デッカいんだぜ〜」と説明され、ちゃ〜んと(現実では)世界最大のドバイのビル「ブルジュ・ハリファ」(828m)との比較画面が出てくるくらい、親切な状況説明をされていた。
いくら映画とはいえ、こういうビルの危機管理はキチンとした人にお願いしなければならないのは子供でも分かることであろう。で、ビルの危機管理コンサルタントとして登場するのが、主人公のウィルといったワケになる。
頭を使わなそうな筋肉隆々な男。
彼は義足で片足がない。
のっけから危機管理担当を間違えてるじゃないか。
で、そんなウィル。ビルの設計や避難ルートのデータが入ったタブレットを一瞬のうちに理解してしまうのだ。この場面は誰でも「嘘つけ!」と思うはず。
で、「よっしゃあ、危機管理コンサルタントとしてビルを守ったるで!」みたいな雰囲気でハッスルするも、その数分後にいとも簡単にそのタブレットを盗まれてしまうのである。しかも「よお兄弟!」と調子の良い友達(?)に騙されてである。これが“ザ・パール”の大炎上に繋がるキッカケになってしまうのは言うまでもない。
そもそも
主人公のウィルも無能なのだ。
ビルに侵入する為に、意外なルートで行くザ・ロック
主人公ウィルのポンコツミスのせいでテロリストに占拠され、挙句大火災に見舞われる世界最大のビル“ザ・パール”。ウィルはテロリストの一味として疑われてしまうが、彼の家族も世界最大のビルの96階に、家族が逃げ遅れてしまっている。
「助ける為になんとかしなければ」とばかりにビルに、警察のバイクを盗んで大激走で向かうものの、検問や人混みで正面からは入れない。さて、ウィルはどこからこの巨大ビル“ザ・パール”に潜入するのか。実はこのシーン、映画中盤で一番盛り上がるシーンとなっている。
ここで思い出すのは80年代の名作アクション映画『ダイ・ハード』。あの映画は主人公のマクレーン刑事が「どうやって上に行けば…」となり、苦肉の策で排気ダクトやエレベーターを使って上階へと向かい、テロリストと対峙してしまう。
しかし、
我らが“ザ・ロック”。
そんなまわりくどいことはしない。
なんと、家族がいる96階と同じくらいの高さにある、偶然建設が始まったばかりのザ・パールに隣接する予定のビルで、作業が偶然止まっている建設用クレーン側面の鉄骨を素手で登り始めるのだ。ちなみに、前述の通りビルの高さはおよそ1キロ、家族がいる96階はビルの中腹に位置する設定となっている。つまりこのクレーン、高さが約500m超えという前代未聞の超巨大クレーンということになり、映画内ではサラッと触れられているものの、ウィルに至っては約500mの高さの鉄骨を素手で登っていたことになる。なんじゃソリャ。一応言っておくと、時代設定は2018年の「現代」である。
ただ、ここからが本番であるのだ。ウィルは登ったクレーンを操縦して、“ザ・パール”への「橋」を作ろうとする。そうこうしているウチに、偶然ビルのガラスがクレーンのフックにぶつかり割れる。この偶然に驚きを隠せないウィルは「あ!ここから潜入出来る!」と思いつくが、いくら巨大クレーンとはいえ巨大ビルまで距離が遠すぎて、“ザ・パール”への橋がけはどうしても届かない。絶体絶命のピンチのウィル、ここでどうしたのか。
なんと、足りなかった残り20mくらいあるビルとクレーンの距離を、ジャンプして飛び込むことを思いつくのである。前述の通り、高さはおよそ500m。「いや、待て」と思わず思ってしまう場面であるが、割とサラッとジャンプして成功させてしまうのである。オリンピック選手でも、はたまた“Mr.SASUKE”山田勝己でもそんなことは出来ないであろう。
きゃー!すごーい!
と、ザ・パールの行く末を見守る香港住民だけでなく、ウィルを疑っていた香港警察の人たちもこの(あり得ない)潜入方法に大熱狂。
なんというお花畑な脳みそであろうか。
あまりにもありえない場面の為、海外の映画ファンの間では、早くもビルのジャンプシーンを検証する映画ファンが多数発生している。まあ当然だろう。
ぶっ飛んだ家族の救出
テロリストたちの犯行理由は後述するが、主人公のウィルはとにかく頭を使わない。
「思い立ったが吉日」を地で行く行動を繰り広げる、「お前、本当に危機管理コンサルタントなのか?」という行動のオンパレードなのだ。
“ザ・パール”には、単純なビルとしての機能のみならず、ビル内には屋内庭園的な場所が存在する。テロリストの放火により、屋内庭園は火の海になってしまうが、実はそこにウィルの家族が居ることが判明する。しかし、ウィルが到着した瞬間にその屋内庭園はまるで待っていたかのように崩壊を始めてしまう。まあ偶然だろう。
またもや、絶体絶命のピンチのウィル。妻には遭遇出来たものの、子供たちは崩壊した屋内庭園の中心に取り残されてしまう。
さて、このピンチにウィルはどうするのか。
この絶体絶命の状況の中のウィル、あることを思いつく。その場所に偶然置いていた木の板で、即席で橋を作り助け出すという方法だ。言うまでもなく無謀である。そして、「俺の体重は重いから、お前行ってくれ」と妻に救出をお願いする。その間ウィルはどうするのか。
なんと、数トンにも及ぶであろう崩壊しかかった屋内庭園を、屈強な腕を使ってザブングル加藤のような顔で支え始めるのである。
「いやお前意味ねえだろ」とは口が裂けても言えないが、無事に妻のサラは救出に成功。
その場面のザ・ロックの顔芸は見事であった。
万能すぎる“Duct Tape”
この映画の主人公のウィル、実は事あるごとに「これは本当に便利だなあ」と、あるアイテムに対して馬鹿のひとつ覚えのように呟く。それは「Duct Tape」…なんとただのガムテープに対してである。
前述のクレーンからビルへの無茶すぎるジャンプで、実はビルの破片が肩に刺さってしまったウィル。おもむろに破片を抜き、傷口にアルコール(?)をドバドバかけ、「これは便利だなあ」と粘着テープを巻く。あからさまなノータリンである。お前は元特殊部隊員なのだからもっと良いケアを思いつくだろ!と思わず思ってしまうはずだ。
1995年のスティーブン・セガール主演のアクション映画『暴走特急』で、大型対戦車用銃で狙うスナイパーから撃たれたセガール演じるケイシー・ライバックが、「(スナイパーの)銃弾は貫通したからかすり傷だ」という妄言を言っていたのを思わず思い出したが、この場面はその迷場面に匹敵するシーンである。
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ちなみに、その後もガムテープネタが至る場面で登場するのだ。
なんと終盤の重要な場面でも登場する。それが終盤、これまたウィルのうっかりミスで連れ去られてしまった娘を救出する為に、ビルのオーナー・ジャオに「どうやって救出するんだ?」と聞かれた場面である。
なんとウィル、ちょっと考えて
「ガムテープあるか?(Got any duct tape?)」
と今までにないくらいの真顔で質問するのである。そして、偶然置いてあったガムテープでジャオの腕を縛り、ジャオを人質にしてテロリストに救出交渉に向かうのである。そう、この主人公ウィル、ジャオを生贄にしようと試みるのである。
もっと良い方法あるだろ!
頭を使わない敵たち
頭を使わないのは何も主人公のウィルだけではない。テロリスト集団もまあまあなアホである。『ダイ・ハード』でアラン・リックマンが演じたハンス・グルーバー(と仲間たち)にインスパイアされたとしか思えない男性敵キャラ集団に、まんま『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラなユニセックスな謎の女性1人。
この偽ルーニー・マーラの役目はほぼなく、唯一目立った場面といえば、ネーヴ・キャンベル演じるサラに豪快に蹴飛ばされた、というほんの一場面だけである。
“ザ・パール”はテロリストによる爆破テロにより、90階以下は降りることが不可能となっている。それでもテロリストたちは割と楽観的であった。ある逃亡方法があったからだ。
それが、オーナーのジャオが最上階に偶然保持していたヘリコプター。しかし、このヘリコプター、ジャオのボディガードの妨害によりあっさりとぶっ壊れてしまう。しかも割と序盤に。テロリストたちは一瞬真っ青になってしまう。
しかし、対案はすぐに思いつく。
なんと“ザ・パール”には偶然備え付けのパラシュートがあったのだ。ただ、このテロリストたち、本当に頭を使わない。地上1000mの屋上でウィルに激闘された挙句、大気に晒されたパラシュートのむちゃくちゃコントロールで外に飛ばされるわ、パラシュートのせいで飛び落ちるハメになるは、ボッコボコに殴られてパラシュートもろとも吹っ飛んでしまうわ、もう散々なオチ。一応プロなのだから、もっと頑張れただろうに。
そもそもテロリストたち、映像で出てくるのはおそらく30人程度である。1000mの巨大建造物をアリレベルしかいない兵力で強襲するのである。しかも、何故か2チームに別れている。“ザ・パール”とは別の場所で巨大ビルのコントロールを担う中継基地を掌握する部隊と、ビルの内部にいる強襲部隊の2チーム。人数は半分ずつくらいで、つまりビルの中にテロリストは15人程度しかいないのだ。「悪の道のプロ」なんて設定があるから一応は説得力はあるものの、それを一瞬で壊滅させる“ザ・ロック”ドウェイン・ジョンソン演じるウィル。
「危機を管理する」のではなく、「危機を根本もろとも破壊する」のがこの映画でのウィルの仕事(たぶん)。
敵たちに勝ち目などなかったのである。
巨大ビルなのに“ガバガバ”セキュリティ!
“ザ・パール”の危機管理コンサルタントに任命されたウィル。序盤でこの超高層ビルのセキュリティを全面的にカバーしているあるアイテムをもらう。それが前述のタブレットだ。
なんとこのタブレット、ビルのセキュリティ全面を一枚でカバーしているのだ!前述したセキュリティ室が全く意味をなしていないことにもなるが、序盤で何万人収容出来るだとか、高さは3500フィートって言っていた割に、タブレット一枚で約1000mのビル警備・防災を管理!
そりゃ乗っ取られるわ!
しかもそんな大事な大事なタブレットをわずか数分で盗まれてしまうウィル。しかも友達だと思っていた人に騙されて。
実はウィルが一番悪いんじゃないか?
なんて考えてしまう。
「これを狙っていた」が実にしょうもない!
そもそもテロリストたちは何故、無謀としか思えない約1000mのビルを乗っ取ろうとしたのか。実はビルのオーナー・ジャオの持っていたあるモノを奪いたかったのだ。
実はテロリストたち、元々は“ザ・パール”の建設に反対していた集団で、「ザ・パールを建てたければ、耳揃えて金払えやあ」と地上げ屋の如くジャオを脅していたのだ。そんなジャオ、そのお金を素直に払ったかと思いきや、お金の札ナンバーや出所をハッキリと分かるように細工し、資金が一円でも使われたら居場所が分かるシステムを作り出していたのだ。「これじゃあ、お金が使えない。」と、テロリストたちはその資金の登録データなどを抹消する為に、ジャオが持つロンダリングデータを奪って破壊しようとしたのだ。
説明、ちょっと複雑?
しかし、要約すると超簡単なこと。
マネーロンダリングして、
お金を市場で使えるようにしに来ただけ
なのである!
それだけの為に、出来たてホヤホヤの1000mビルを占拠。
いくらバレないと自信があっても、いずれ絶対に見つかるに決まっている。
本当にバカである。銀行に行け。
そもそもなぜ香港が舞台!?
そもそも疑問なのが、何故、香港が舞台なのか?
主人公のウィルは「元軍人」であり、「元FBIの人質交渉人」という、思いっきりアメリカヒャッホーな設定がされているのに、まさかの「香港」が舞台。
実はこれには映画の設定とは、全く関係ないとある理由があったのである。
この映画『スカイスクレイパー』の制作会社はアメリカのレジェンダリー・ピクチャーズ。『ダークナイト』シリーズなどのクリストファー・ノーラン監督の近年の作品や、『パシフィック・リム』シリーズなど、映画ファンが喜びそうな映画を次々に連発している、ハリウッドでも今イチバン注目の制作会社である。
で、それと「香港」というキーワードのどこが合致するのか?
実はこのレジェンダリー・ピクチャーズ、元々はアメリカ最大手制作会社ワーナー・ブラザーズの傘下であったが、関係悪化により契約を解消。2013年に中国の最大手企業「大連」に買収されてしまっているのだ。
実は大連という会社、昔っからレジェンダリーの筆頭株主として多額の出資をしており、思えば提携するのは必然とも言える状態だったようだ。中国マネーが出ている分、レジェンダリーのスタッフはどうにかしてでも中華圏をヨイショせねば、なんて雰囲気になっているのだろう。
つまりは、この映画『スカイスクレイパー』は完全なる“大人の事情”で香港が舞台になっているのだ。
そもそもそんな無茶な“大人の事情”の為に、この『スカイスクレイパー』の「香港が舞台!」「1000mのビル!」という内容が決まった時点で、この映画のおバカっぷりは約束されたようなものだっただろう。
ちなみに、レジェンダリー・ピクチャーズの映画。
前々から地味ィに中国ヨイショをしていた前科がある。
例えば2008年の『ダークナイト』。
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ハードボイルドな雰囲気に映画ファンが熱狂したのはつと知られたところだが、この映画で我らがバットマンことブルース・ウェインは、総尺150分の超大作で5分ほど奇妙な行為を行うのだ。なんと、バットマンの映画化で初めてゴッサム・シティを飛び出して、香港に逃げた悪役を直接捕まえに行こうとするのだ。
まさかのボンド映画のような展開は、やはりその部分だけ異様な雰囲気があるのは間違いない。当然ながら映画ファンの間では「映画の内容は素晴らしいが、香港に行く必要あった?」と議論のマトになっている。ちなみにそのバットマンが捕まえようとする敵こそが、この映画でビルのオーナー・ジャオを演じているチン・ハンだったりもする。
また、近年だと2017年の『キングコング:骸骨島の巨神』。
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「南太平洋が舞台」の映画で尚且つアメリカの「特殊部隊」が中心になった、到底中華要素の入りそうにないキャラクターと舞台背景であるが、そんな中でも臆することなく中華要素をぶち込んできたのである。それがジン・ティエン演じるサンというキャラクター。なんとこのキャラクター、オープニングの状況説明などが終わり「さあ、みんなでスカルアイランドに向かうぞ!」という時に唐突に現れるのだ。人物紹介もほぼないまま、大した活躍もせず、はたまた周りに迷惑をかけてピンチに陥れるワケでもなく、これまたなんで居るのか分からないデクノボウ&ヘタレな黒人と唐突に恋仲を匂わせるのである。
僕が例えば、これまで見た映画で「必然性のないキャラクターランキング」をつけるとしたら間違いなく上位にくるであろう、近年見た映画でも一番「なんで居るんだコイツ」と思ったキャラクターだった。ただ、それも所謂“レジェンダリー・マジック”、観ているうちには全然気にならないのである。
あと、もう一個ある。
マット・デイモンが主演を務めた『グレートウォール』だ。
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この映画、「万里の長城建設時に欧米人が来た」と、初っ端からフルスロットル加速の大バカ風呂敷を広げるのである。ちょっと歴史に強い子なら「そもそも行けるワケねーだろ」と、瞬時に察しがつくものだが、この映画はまさにそんな無茶な力押しで展開を始めるワケだ。
そんな中華ヨイショ会社レジェンダリー・ピクチャーズの中でも、おそらく『グレートウォール』に継ぐぶっ飛び展開をしているのが、この『スカイスクレイパー』である。
そんな不自然な展開の映画でも、中国内では『グレートウォール』も、今回紹介している『スカイスクレイパー』もメチャクチャ大ヒットしているという。そもそも、アメリカ市場での成功を期待せずに、中国内で資金を回収しようとしているとの噂もあるくらいらしい。
やっぱり大人の事情なんだな!
衝撃のラスト!
この映画、まさに“トントン拍子”という言葉が最も合っているくらい、御都合主義そのものの展開でラストまでフルスピードで展開する。で、テロリストを全員倒したことでビルの危機も解決し、取り残された娘もオーナーのジャオも合わせて救助に成功する。
ラストは屋上からヘリコプターでの脱出。オーナーのジャオは自ら作ったビルの無残な姿にションボリしてしまう。そこでザ・ロックではなく、ウィルはこう声をかけるのだ。
「ジャオ、これからどうするんだ?」
ニコッとするジャオ。そして衝撃の一言を放つ。
「建て直すさ」
そのハツラツとした笑顔はどうにも憎めないのだが、“いや、辞めとけよ”って観た人全員が思うに違いない、まさかの一言である。“ザ・パール”のテロリストの占拠も、そもそもその原因となったガバガバ過ぎる管理システムも、そもそも元をたどればジャオが全部いけないのは間違いないが、そんな逆風を物ともせずこの一言。
ザ・ロックの筋肉も含めて、“反省”という言葉が一切存在しない映画なのだった。
まとめ
この映画のジャンルは“マッチョ映画”である。80年代の古き良きシュワ&スタローンの映画のような、「頭を使ったヤツは死ぬ」という如きの映画なのだ。底抜けに頭の悪い主人公にその家族や仲間、そして敵は主人公たちの数倍はバカという、まさしく80年代のハリウッドアクション映画のテンプレートを、そのままぶち込んだような映画だ。
散々に言ってしまったが、結局は楽しめてしまったのである。まさしく頭を空っぽにして。とはいえこんな映画をずっと観ていると、自分の脳(前頭葉など)が筋肉で大ダメージを受けてしまうに違いないが、今時珍しいほどにおバカな映画を観た。
この映画の鑑賞後は、この映画の衝撃展開の数々に誰かれに言わずにはいられないと思う。つまりは娯楽映画としては大成功とも言える映画なのだ。
おヒマなら是非観た方が良い。オススメです。
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BANANA SCOOTER’Sの用心棒兼コンポーザー。元民放テレビ局AD。自称・関東イチ映画とテクノ・ミュージックを愛する男。ダイエット中。またサブカルチャーへの造詣もかなりのもんです。趣味はディスクユニオンでポンコツCDを購入すること、どうでも良いことに対しての長い作文作成。
故にそんなブログを書くと思います。
しょうもない内容の記事が多いですが、本人曰く「至って真面目」に“しょうもない記事”を書いているとのことです。
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