寝ても覚めてもあなたのそばにいる、トノハジメです。
さて、先日4/8にとある映画の続編が公開されました。名前は『T2 トレインスポッティング』。1996年に公開された、悪ガキ達が人生を変える為に奮闘するという内容で現在までも多くのフォロワーを獲得している、イギリスを代表する名作青春映画『トレインスポッティング』の続編で、なんと続編映画としてはかなり異例の、ほとんどのスタッフ・キャストが一緒という、まさに20年越しの“青春”映画として今注目を集めています。
荒んだ日常を送る若者たちのはい上がりの物語。私自身も学生時代に心を震わせた映画です。
そこで今回は1996年の『トレインスポッティング』を紹介すると共に、現在公開中の続編『T2 トレインスポッティング』の魅力を余すとこなく伝えていこうと思います。
『トレインスポッティング』
まず、この『トレインスポッティング』ですが、1993年に発売されたアーヴィン・ウェルシュという作家の同名小説が原作となっており、映画版では主人公マーク・レントンだけを主人公としているものの、原作では登場人物の様々な目線からジャンキー(薬物中毒者)の日常が綴られています。原作でも、そして映画でも印象的に使用されているフレーズがこの作品の代名詞とも言える台詞『〜を選べ(Choose, ~』。
映画ではこの印象的な台詞から主人公のマーク・レントンが追手から逃げるという爽快過ぎる場面から始まります。実はこの主人公のマーク・レントン(そして、仲間たち)は極度の薬物中毒者のグループで、低所得の家で育ったこともあり金もないのに(そして、実家暮らしにも関わらず)遊びほけてしまっていました。
ただ、グループの1人である(後のオビワン・ケノービとしても知られる)ユアン・マクレガー演じるマーク・レントンは、そんな日常に悶々としている気持ちを隠し切れない。というのも、マークには1つの目標が。それは薬物も犯罪もない、平和な「普通の」生活をするということ。
実はこの作品、大きなテーマになっているのが、この「普通の」生活をするということで、グループの中をかき乱してでもマークはその目標を向かって突っ張り続けます。ただ、このことが作品中のトラブルにつながるワケなのですが…
さて、ストーリーはそこまでですが、ここからは4つのポイントで『トレインスポッティング』の魅力をご紹介。
1、(後の)豪華キャスト
主演のマークを演じたのは、本作でブレイクした直後にスペースサーガ『スター・ウォーズ』の若き日オビワン・ケノービを演じたスコットランドの俳優ユアン・マクレガー。
熊のような優しい目から放つ素敵な笑顔は一度見たら忘れられません。腐れ縁のスパッドを演じたのは(少し似た名前の…)ユエン・ブレムナー。
実は『トレインスポッティング』は映画化される直前に何と演劇舞台としてロンドンで上演されており、その舞台で主役のマークを演じていたのがなんとユエン・ブレムナーで、当然ながら舞台出演が縁で映画にも出演することになりました。
後に戦争映画『ブラック・ホーク・ダウン』では久々にユアンとユエンが共演。勿論、『トレインスポッティング』のファンは騒然としたそうです。金髪のクールガイ、シック・ボーイ(サイモン)も演じたのはジョニー・リー・ミラー。
この間ブラッド・ピットと謎の離婚をして騒動になったアンジェリーナ・ジョリーの一番最初の旦那さんです。
狂犬ベグビーを演じたのはロバート・カーライル。本作出演後『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』で不死身のテロリスト・レナードを演じたイギリスの名優です。※女優陣はイギリスのドラマ・映画で活躍してるものの、日本ではあんまり知られていないので割愛。
2、スタイリッシュな映像
何と言ってもこの『トレインスポッティング』は映像のまさに新感覚とも言うべきスタイリッシュさです。とにかくスピード感で拘った、神経質なまでタイトな編集と、画面の水平等をまるで無視した、今まで見たことのないようなカメラワーク。
映像業界の方たちは、その有様に度肝も抜かれてしまったそうです。また、薬物中毒者を取り上げていることもあり、禁断症状のシーンなどではシュールな演出が連発。カメラワークの落ち着きの無さもさる事ながら、見ていてずっと飽きない持続性が素晴らしいのです。
監督はダニー・ボイルという人。元々はイギリスのテレビドラマの演出家としてデビューし、エッジの効いた演出に定評がある人だったそうです。1994年に金銭強奪をテーマにしたスタイリッシュサスペンス『シャロウ・グレイブ』で映画監督デビュー、取り上げる本作『トレインスポッティング』は2作目の映画となります。
この『トレインスポッティング』で世界中の映画ファンのフォロワーを獲得したダニー・ボイルは翌年『普通じゃない』という映画でハリウッドデビューをします(勿論、主演はユアン・マクレガー)。当時、飛ぶ鳥も落す勢いになっていたキャメロン・ディアスの可愛さに溢れた・・・なんて言われた演出でまたも注目を集めます。
その後、『タイタニック』で一躍大スターになったレオナルド・ディカプリオ主演の『ザ・ビーチ』も大ヒット。(内容に酷評を受けたものの・・・)さらに磨きのかかったスタイリッシュな演出に『トレインスポッティング』のファンを中心に次回作の注目が集まります。そして完成したのが00年代のゾンビ映画の名作としても知られている『28日後』。
当時あまり普及をしていなかったデジタルCAMによる撮影を全面的に取り入れ、全世界の映画ファンたちを熱狂させ映画も大ヒットし、ホラー映画の祭典であるサターン賞で最優秀ホラー映画賞なる賞を受賞しました。その後、真田広之なども出演した『サンシャイン2057』を発表した後、『スラムドッグ$ミリオネア』が公開。
この映画は高い評価を受けて、今までの作品とは比べ物にならないほどの大ヒットとなります。なんとこの作品で、ダニー・ボイルは映画の権威、アカデミー賞で最優秀監督賞を受賞します。
その後は実力を不動のものとし、イギリスのオスカー受賞監督として、名監督の仲間入りを果たします。続く、絶体絶命に陥った登山家アーロン・ラルストンの実話を描いた『127時間』はまたもアカデミー賞にノミネート。さらに高名に喘ぐことになります。
その後、イギリスを代表する監督として、ロンドン・オリンピック開会式の演出を担当。
イギリスのエンターテイメントとポップカルチャーを融合した素晴らしい演出に、世界中の注目を集めました。そうなんです。この『トレインスポッティング』はこんなにも恵まれた監督が作る映画であったのを予見していたのでした。
3、異例の大ヒット!カッコいいOST
前述してる通り、映像もとてもカッコいいのですが、何と言ってもこの映画で一番の注目が、イギリスのUKロック&エレクトロの精鋭が集まったサウンドトラック。ブラーやプライマル・スクリーム、そしてアンダーワールドなど、少し音楽を齧った人なら名前だけでも聞いたことがあるであろう、現在を人気の音楽グループから、イギー・ポップやルー・リード、ニュー・オーダーなど懐かし系の音楽まで勢揃い。
ハイボリュームの為、サウンドトラックは2枚に分けてリリースされたが、そのセンスある選曲は瞬く間に注目を集め、日本でも売上チャートで1年間近くランクインし続けるという快挙を成し遂げました。そして、当時より出現し出していたサブカルボーイとサブカルガール達の90年代のモテアイテムとして使われました。
4、爽快過ぎるラストシーン
本作のラストは青春映画でも有数の名シーンとして知られています。先の通り、マークは怠惰な生活を抜け出す為、本作のラストでついに縁を切ることに成功します。一見後味が悪い、なんて思うラストであるが、スピード感溢れる演出故かとてつもなく爽快。なんでそんなに清々しいのかは実際に映画をご覧ください。前作『トレインスポッティング』はこの5つのテーマで観るとまた一見です。
『T2 トレインスポッティング』
話は戻りますが、そんな名作映画『トレインスポッティング』の続編『T2 トレインスポッティング』が先日公開されました。
物語は前作のラストから20年後。前作のラストで仲間たちを裏切ったマークはふとしたことが原因となり、逃げ出していたオランダから故郷エディンバラに帰ってきます。昔の仲間たちは以前にも増して生活が荒んでいるものの、バカらしい日常は相変わらず。とはいえ、当のマークも精神年齢は以前のままでおバカなまま。マークは復讐心を持つ仲間たちをやっとのこさ雪解けさせ、故郷エディンバラでの生活をしていくが・・・。
監督は同じくダニー・ボイル。去年に60歳になった御大でありますが、派手でスタイリッシュな映像は全く衰えを知りません。勿論スタイリッシュな映像、物語のスピーディな展開も相も変わらず。前作を観ている方は、映画の中である前作とのリンクを楽しめるとともに、初めて観た人でも楽しめる、まさしくカッコいい映画に仕上がっています。
どうですが映画好きの皆さん、『T2 トレインスポッティング』は今観なきゃ絶対に後悔しますよ。
Choose Life,Choose a movie!!
それでは最後に名曲。前作『トレインスポッティング』の爽快ラストを飾る『Born Slippy (Nuxx)』でお別れです。それでは次回。
BANANA SCOOTER’Sの用心棒兼コンポーザー。元民放テレビ局AD。自称・関東イチ映画とテクノ・ミュージックを愛する男。ダイエット中。またサブカルチャーへの造詣もかなりのもんです。趣味はディスクユニオンでポンコツCDを購入すること、どうでも良いことに対しての長い作文作成。
故にそんなブログを書くと思います。
しょうもない内容の記事が多いですが、本人曰く「至って真面目」に“しょうもない記事”を書いているとのことです。
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