どうもお久しぶりです。トノハジメです。
コロナ禍の昨今、ぶっちゃけ新型コロナに罹っちゃうとお仕事に大打撃を食らってしまうので、感染したくなさ過ぎてビクビクする毎日を送る私なのですが、そんなご傷心セガールな私が心待ちにしていたNetflixドラマシリーズ『全裸監督』の続編が先日2021年6月24日に配信開始!
早速全て鑑賞しましたが…
いやはや、3150(最高)。
ということで、職場やお友達に喜びをシェアするのも間口が狭いので、久々にレビュっちゃおうと思います。
※まあ、既に職場・友人に面白さをシェアしまくっているのは事実ですが。
前作『全裸監督 シーズン1』を振り返る
さて、今回『全裸監督 シーズン2』をレビューするにあたって、当然ながら前作シリーズを振り返らないというのは、“礼儀を知らない社会人”といったところ。
ちょうど良いことに、天下のネトフリ先生は優秀ですけえ、振り返り動画を作ってくれはっているんですね。ということで下の動画。
タイトルの“全裸監督”とは、日本のポルノ業界の「帝王」として未だ君臨する村西とおるその人。演ずるは日本で一番有名な山田こと山田孝之です。
前作では、一介のしがないサラリーマンがいかにして「帝王」となったか、がメインテーマでありました。言うなれば、“アメリカンドリーム”ならぬ“ジャパニーズドリーム”ともいったところで、レオナルド・ディカプリオの『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を彷彿とさせる成り上がりド根性物語は、昨今ニッポンの不景気状況もあり多くの人の支持を集め、私自身も胸がアツくなるお話。
「挑戦せざる者に成功無し」とは良く言ったもので、真似したくても出来ないファンタジックな人生を魅せる、とても魅力的な物語でした。そもそも、現在でもブイブイ活動している村西とおる本人の実話を基にしていることもあり、その点でも迫力を感じさせる内容だったのです。
加えて、“ポルノ業界”が題材なこともあり、過激な描写は矢継ぎ早。とはいえ、単なるエロティックなシンボルとしての性描写ではなく、それぞれの“エロ”にちゃんと意味と意義が感じられたのも、『全裸監督 シーズン1』の特徴であったのに他なりません。
【レビュー】伝説のAV監督“村西とおる”のヤバすぎる半生:Netflixドラマ『全裸監督』
栄枯盛衰:村西とおる
さて、じゃあ『全裸監督 シーズン2』では何が描かれるんだい!と思うところですが、本作で描かれるのはバブル到来によって一大資産と名声(?)を手にした村西とおるとその周辺のその後。
前作シーズン1では、時代設定がバブル経済真っ只中であった1980年代の、いわゆる“イケイケドンドン”の時代だったのですが、本作は前作のちょっと後となる80年代後期から90年代前半が舞台。当然ながらバブル崩壊にリンクするワケで、村西とおるとその周辺は図らずも時代に翻弄されていってしまいます。
驚異的なバイタリティで問題を解決する様は相変わらずながら、そんな村西でも日本の危機でもあった情勢に勝てるはずもなく、本人の“イケイケドンドン”な勢いだけではどうにもならなくなってしまいます。言わば栄枯盛衰と言ったところで、僕ちゃんの大好きな映画『スカーフェイス』さながらの転落物語となっていくのです。
ヒロインである森田望智演じる黒木香や、玉山鉄二演じる側近・川田なども同じで、のっぴきならない状況にフラストレーションを溜め込んでいきます。村西に対しても、「村西とおる」その人へのリスペクトは変わらずも、人間そのものとしての「村西とおる」に対しての疑問を感じ始めてしまう。
まさに「金の切れ目は縁の切れ目」なワケで、その点でも前作以上にアンダーグラウンドなお話に突き進むことになるのです。「金の切れ目は縁の切れ目」という内容が、本作の大きなテーマになっています。
前作とは異なるエロ“良い”話
先に「前作以上にアンダーグラウンド」と書いたものの、そこは世界の村西。
腐っても鯛、腐っても村西とおるなのです。
本作で村西とおるが躍起になるのは、衛星放送によるアダルトビデオの配信。つまり、主眼は「宇宙」です。そのスケールのデカさに驚くあまりですが、村西本人は至って本気。子供のように嬉々として挑戦に突き進む姿はドキがムネムネしてしまいます。
※吉田栄作演じる銀行員に衛星放送を紹介されて、BGMでプライマル・スクリームの『Movin’ On Up』が流れる中、ケンタッキーをムシャムシャ食べてる村西とおるの姿はヒジョ〜に微笑ましい!
しかし、「宇宙」に手に出してしまったことが運の尽き。これまでと比べ物にならないくらい、お金を湯水の如く使いまくってしまいます。「宇宙」の存在が村西帝国を崩壊を導いている、ということを一番分かっていないのが村西とおる本人という展開は何とも切ない。
また、前作で苦しい決別をしてしまった、満島真之介演じる荒井トシも再登場。シーズン1で村西に「エロ」を商売にすることを伝授したキーパーソンでありましたが、本作シーズン2でもその存在感は抜群。
何と言っても、シーズン1であまり描かれていなかったトシの義理人情を重んじるヤクザとしての一面、決して引き返さない男らしさが描かれます。これがまたグッと来ると同時に、情感を震わせてくれます。トシがシーズン2の間にどうなっていくのか、この部分も非常に興味深いものでした。
時代の移り変わり
先に取り上げた通り、本作『全裸監督 シーズン2』の舞台はバブル経済末期からバブル崩壊までの日本。ソレを感じさせる為なのか、当時に公開された映画のポスターが頻繁に登場します。
例えば、80年代末期の場面では松田優作の遺作として知られるクライムアクション映画『ブラック・レイン』、90年代初期では『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』や『バックドラフト』など。映画好きの僕には「おお!」となる、さりげないながらとても粋な演出だな、と思った次第です。
それだけではなく、本作では「時代の変化」が色濃く描かれているので、さりげなく時代を映す鏡というか、当時のキーアイテムがたくさん登場します。例えば自動車とか。まるで『Always 三丁目の夕日』シリーズのような、日本の過去がたくさん描かれています。
シーズン1では80年代という舞台設定はあったものの、そこまで大々的にはフォーカスを当ててはいませんでしたが、ある意味進化した部分というか、本作シーズン2を観るに当たって「時代の変化」という点は避けてはいけない変化だった気がします。
2人のヒロイン:「黒木香」と「乃木真梨子」
前作シーズン1で、一大決心をしてアダルト女優となり、村西とおるの“オンナ”になった黒木香ですが、彼女もシーズン2では大きな岐路に立たされます。
「黒木香」という強い女性的なパブリックイメージとは裏腹に、内面は1人のか弱い女性であったのです。彼女が本作で戦うのは村西ではなく自分自身。内面と外面のギャップに苦しむ姿はとても切なく、それ故に村西とおるという人物の男としてのやるせなさが強調されます。
そんな中に現れるのが、若手演技派女優・恒松裕里が演じる乃木真梨子。彼女は黒木香に憧れてアダルト女優になる女性ですが、彼女が惹かれていくのはお金でも名声でもなく、村西とおるという存在。
もう1人の黒木香のような存在でありながら、女性をビジネスの商品としてしか見ていなかった村西とおるが忘れかけていた「女性」という存在を強く認識させる存在となります。
まとめ
『全裸監督 シーズン2』を鑑賞した僕の感想は、「男の生き様、女の生き様」です。
「誰にも出来ないことをやる」というのは並大抵のことではありませんの。シーズン1のような陽キャ一片な雰囲気とは異なる、渋い展開はとても映像映えする内容でもあり、先の読めない展開はミステリーチックでもありました。
シーズン1と比べると、エロもコメディも少ない印象でありましたが、とはいえソレは全くマイナスではなく、むしろプラスに働いているようにも思います。
さあ、全国のNetflix契約者の皆さん。
観ませんか、
『全裸監督 シーズン2』を。
BANANA SCOOTER’Sの用心棒兼コンポーザー。元民放テレビ局AD。自称・関東イチ映画とテクノ・ミュージックを愛する男。ダイエット中。またサブカルチャーへの造詣もかなりのもんです。趣味はディスクユニオンでポンコツCDを購入すること、どうでも良いことに対しての長い作文作成。
故にそんなブログを書くと思います。
しょうもない内容の記事が多いですが、本人曰く「至って真面目」に“しょうもない記事”を書いているとのことです。
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