【映画レビュー】映画評論〜アンタのナマコに塩塗り込むわよ!〜第14回:本気出した日本人映画特集

コラム

映画評論家のおすぎむら昆よ!

チャオ!

ということで、今日はテレワークに最適の日本人が頑張ってる映画を紹介するわ!

「ビジターQ」【75/100点】

この作品の前年で発表した『オーディション』で全世界のホラーファンに注目を集めたばかりの三池崇史監督が満を持して発表した異色の家族モノ。

のっけから、某ハマジムのアダルトビデオっぽいセックスシーンで始まるという強烈な展開は凄まじく、その後の登場人物も全てが常軌を逸している状態。

現在では名バイプレーヤーの一人として名優の位置を確固たるものにしつつある遠藤憲一のあーでもないこーでもない姿がたくさん見れるので、JKに多いという女性エンケンファンにしっかりと正座で見せてあげたい作品。

ワタクシ個人としては遠藤憲一の代表作だと思っており、出演場面の半分近くが全裸、もしくは半裸、ベッドシーンなど卑猥な場面である。当然ながらあの強面フェイス&高身長で半裸or全裸はかなり強烈である。

この作品が発表された2001年といえば『バトル・ロワイアル』のR-15指定についてめちゃくちゃ騒がれていた時期であるが、しっかりとR-18指定となったこの作品に至っては、映倫の指定に関して「そりゃそうだよな」と些か納得。

三池監督もこの作品のことがお気に入りらしく、「自分が死んだら流してほしい一作」に選んでいるのがこの作品らしい(ってWikiに書いてありました!)。そのチョイスの通り、常軌を逸している内容が多い三池作品において、随一ともいえる振り切れた狂気を見せる一作である。


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最近では大手映画で全盛期のハッチャケ度には程遠い作品を連発していた三池監督だが、最新作『初恋』ではVシネのノリを復活してアクセルを踏み込んでいた。当然ながらワタクシのような映画ファンに好評を獲得していたが、対してこの『ビジターQ』はアクセルを踏み込みすぎてギヤが外れてしまった、もしくは出発と同時に車に衝突してしまったような映画。

「アイアムアヒーロー」【85/100点】

最近の邦画といえば悲しいことに「安っぽい映像」「薄いストーリー」など、80年代の角川映画の流れ、しかも特に悪い部分を引き継ぐ、インスタント映画製作が相場になっている。

ましてゾンビ物なんて金がかかることもあってか、全く黙殺されていた存在で、(この作品の前は)あってもVシネレベルの予算しか取れなかったこじんまりした作品しかない。

が、この『アイアムアヒーロー』は邦画の本気が垣間見える、ゴア描写と金のかかったアクションシーンの連べ打ちの映画。

序盤のタクシーの暴走シーンなんて、「あれ、邦画だったよな…?」とふと我に返る大迫力。

また、邦画にありがちなおセンチな恋愛場面が全くないのもすごく好印象。

おまけに後半からは、あのジョージ・A・ロメロの名作『ゾンビ』と同じスーパーマーケットでのゾンビとの攻防。

漫画原作ながら、ゾンビマニア向けのオマージュに溢れている。もちろん血みどろ。

大泉洋らしくない冴えない人間の演技、紅一点の有村架純もさることながら、なんと言っても長澤まさみがすごい。

近年活躍が著しい長澤まさみに対するワタクシの評価の「美人」に、本作以降「カッコイイ」がプラスされてしまった一作。色んな意味で強すぎて、ワタクシをぶん殴ってほしい、と思った。

「クライシス2050」【5/100点】

製作費5,500万ドルという巨額の製作費、SF畑のハリウッドスタッフを結集したにも関わらず、天文学的な記録的大コケをかましたSF映画。

そんな情報よりも、知っといた方がいいのが、この作品…誰が金出したかってこと。

実は本作、製作費を全面出資したのがNHKと学研。つまり100%邦画であり、一切ハリウッド映画ではない。現場を回したのはアメリカ・イギリスの精鋭たちであるが、プロデューサー陣は日本人(NHK絡み)+アカデミー賞受賞者リチャード・エドランドなどの特殊効果マンたち。

分かりやすく言うと、「設計図はあるし金出すからこんな感じで作ってくれ。」と外注したようなイメージだと思う。

当時よりハリウッドの映画作りを真似た、邦画プロデューサーの封建的姿勢が台頭し始めていたが、それを踏まえると何が原因でこの映画が大失敗したのか、火を見るよりも明らかだと思う。

ワタクシ、映画館で『アルマゲドン』を観て「おおお!」となり、実家近所のレンタルビデオ店で当時現役救命士の父親と似たような映画を探し、偶然で鑑賞したのがこの映画なのだ。まさかの地雷(!)とは知らずに。

※いまだに忘れない、レジ前にあった『クライシス2050』販売用VHSの山!

いまだに覚えているとにもかくにもつまらない展開、つまらないのに無駄に力の入ったリチャード・エドランド(アカデミー賞受賞者)のVFXなど、熱を出した日に見る白日夢のような映画。

とてつもない大コケによりNHKや学研、そして本作が俳優デビューとなった別所哲也など、各々が存在を無き物としているゴミクズのような映画である!

調べてみたら欧米ではほぼ黙殺され、日本でも5,500万ドル(当時時価75億円)のに対し僅か14億円という収入を生んだが、当然のことながら大赤字。1990年といえば、日本はバブル期。言うまでもなくバブル経済が生んだ悪夢のような不良債権なのだ!

そういえば、Wikiにソースが毎日新聞ということで「前売り券は100万枚売れた」という記述があったが、それが本当なら前述の“14億円”はほとんどが前売り券ということになるが、実際はどうなのだろうか。

※この前売り券の話が本当なら、日本では映画館ですら見られていないということにもなるが…。

監督は日本でも人気のある名作カーアクション映画『バニシング・ポイント』のリチャード・サラフィアンなのだが、この『クライシス2050』で映画製作にウンザリしてしまったのか、90年代からは脇役俳優に転向。本人的に良いか悪いかは別として、『バウンド』『クロッシング・ガード』など、とっても味のあるおじいちゃん俳優となり、2013年に鬼籍に入った。

ただし、映画監督としての遺作は『クライシス2050』。結果論だけど、本当に可哀想である。
DVDすら出ていないので、観たい人はVHS用のデッキを買って、VHSで観ましょう。ワタクシは観ないけど。

「サンシャイン 2057」【75/100点】

前回レビューした『サンシャイン2050』とものすごい似た内容で、おそらく邦題を考えた人も意識したであろうタイトルだが、とはいえセンスの違いで出来の良し悪しは歴然。

『トレインスポッティング』のダニー・ボイルが監督したこともあって、映像や編集は諸々すべてがかなりクール&スタイリッシュ。太陽光をイメージした光彩を巧みに捉えた映像はかなりカッコイイ。

謎が多い展開もミステリー調でかなり面白い。イギリス映画の為か、ハリウッド映画のようなダイナミックな展開はないものの、後半から急遽始まるサスペンスホラー的もなかなか意表をつかれて面白い。実は脚本が、後に傑作『エクス・マキナ』を手掛けるアレックス・ガーランド。なるほど。


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初代『エイリアン』のように初見であれば、「誰が生き残る?」という絶妙なキャスティングも良き。特に真田広之。

ワタクシが子供の頃から大好きな、テクノミュージックバンドのUNDERWORLDと作曲家ジョン・マーフィがコラボしたサントラもすごくカッコよく、あらゆる部分がハイセンス。

センスの良さが先行してしまってる為かあまり映画として深みがないのが少し瑕だが、その点は差し引いても観て損はない映画でございます。

今回は以上よ!次回の連載も楽しみにチンチンおっ立てて待ってるのよ!


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映画評論「アンタのナマコに塩塗り込むわよ!」連載中!
好きな映画のジャンルはカルト系から一般エンタメ映画まで様々。
自身の男性器を素手で引き千切っているゲイなりの斜に構えた観点で映画をレビューして興奮している変態。
夢は帝国陸軍士官を主人公にしたヒッチコック風のサスペンス映画を監督すること。

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