【テレビ局就職】TV業界を目指す学生必見!制作会社ADという仕事〜実録体験記〜

コラム

こんにちわ、トノハジメです。

以前、私が開発した文筆プログラムAI「ジョブ太郎」が書いた、就活に役立つブログ「ニッポン社畜大図鑑」というブログ。この中でも特に生々しい内容で、鉄のハートを持つぎっちぽんくんでさえ戦慄した「AD(アシスタントディレクター)」という仕事。もしかして現場の人間そのものなのではないか、というあまりにも赤裸々な現場状況がバナナスクーターズメンバーの間で大きな反響があった為、今回は「AD」という仕事をかなり本気で取り上げます。正直にゲロすると、このADというブログ内容は、先日まで実際にテレビ局のADをしていた私の実体験が元になっています。今回はリクルーターも必見の「AD」という仕事についてまとめて行きます。

ADという仕事とは?

さて、このADという仕事がどういう仕事なのか?

先日のブログで、半袖短パンに野球帽、ロケ時にはボロボロのショルダーバッグに(バミリ用の)ガムテープ、「飲み物は?」と言われたら光の速さで飲み物を上司に提供する「ガチのパシリ体質」と書いております。改めて書きますが・・・

その通りの仕事です。

AD(アシスタント・ディレクター)とはその名の通り、ディレクターをアシストするのが主な仕事。テレビ(もしくは映画)業界において制作業務カーストの中では最下位に位置する、言わば「働きアリ」ともいえる存在となります。年齢層はかなり幅広く、下は18歳の若者から、上は(かなり少数ですが)40歳前後。学歴はあまり問われてはおらず、実はよ〜く探せば中卒のADなんていう存在も確認出来たりします。

ただ、とはいえ上記では具体的には内容が分からないと思うので、そもそもADとは何をやっている仕事なのか?


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ADの仕事内容

ADの区分として大きく別れるのが「テレビ局直属AD」か「制作会社出向AD」かということですが、当然ながら局直属ADの方が“将来的に確実にディレクターになる”などの事情もあり、正直ハナから優遇されていたりはします。とはいえ、優遇されているのは実際給料などの程度で、実際ADとしては皆同じようなことをしているのが正直なところ。

で、ADは日々何をしているのか。

これは普通の会社員ならおそらく知る由もないモノかと思います。実はADというのは所属する番組により、その仕事内容が大きく変わります。実は私、所属した番組が軒並み最終回になったなどの事情もあり、先日ADを辞めるまでに総計で7つにも及ぶ番組に所属をしていました。この7つの番組ですが、ラッキーなことに最近流行りの「ニュースバラエティ」以外の区分をほぼ網羅しており、それぞれ制作体制が違っていました。

ゲームバラエティ

まず、「ゲームバラエティ」。ゲームバラエティとは番組内のアスレチック風のセットで芸能人でワイワイする番組、というのが僕の認識。正直、このジャンルの番組は収録日の前日と当日以外は仕事として行う作業がほとんどないのです。このジャンルの番組にてADが行う作業というと、担当についた際にディレクターとのやりとりをして、セットどうするかや芸能人は誰を参加させるか、などのみで当然収録日が先であればあるほどヒマになるわけです。おそらくですが、このような番組は僕が知る限り、ADとして一番ヒマな番組であろうと思います。

情報バラエティ

逆にシンドイ番組というのが情報バラエティで、「情報」と名のつく通り番組のOA一つとっても情報量が多い為、ちょっとした検証や有識者への取材など、1ヶ月(30日)先の収録日までの期間があった場合、その30日の内に多いとおよそ30箇所のロケに行くなど、かなりスケジュール詰め詰めの段取りが必要となります。そしては素人が相手となる為、当然ながら先方のスケジュールに合わせた段取りが必要である為、担当チーム1組では作業的に間に合わない…なんて時も。

タレント出演のロケ番組

実はこれもまあまあなシンドさ。芸能事務所全般に多いのが、「タレントのスケジュールを、何故そんな無茶な時間でスケを出してくるのか?」ということ。どういうことなのかというと、例えばグルメロケの場合、「一般人の接触を極力避けたい」という理由でスケジュールをド深夜に設定されたり、逆に早朝など、「お前、その時間に店開いてると思ってんのか!」と思ってしまう時間を提示されたりする。当然、閉店が早い店などはかなり無理を言ってロケの交渉。このロケの交渉に関してもADの腕が試されるとも言えます。ただ、僕に関して言えば…基本的にお金で解決していたんですが…

生放送のバラエティ番組

先日、現在巷で話題の映画『カメラを止めるな!』という作品を鑑賞したのですが、私が思う“生放送あるある”が存分に詰まった作品で、非常に楽しく鑑賞しました。この映画の何が面白いって、「生放送だから失敗出来ないので、どうにかして成立させる」というところをコメディ調で存分に積み込んでいる点です。で、この生放送のバラエティ番組何ですが、一つ結論から先に言うと、”生放送の番組でのんびりやっている番組は存在しない”ということです。生放送は一つのOAでの失敗は基本的に許されません。「生放送での失敗を、当日ゲスト出演している芸能人(当然ながらMCにも)に見せたくない」という意識がスタッフそれぞれに芽生えている為です。当然何かしらの失敗が発生した場合は、当日の担当ADは大目玉になります。ADとして一番緊張するのが、おそらく生放送なのではと思います。

その他の番組

例えば、某テレビ局の夏の看板「●時間テレビ」。昨年から録画放送がメインになっており、今年も録画放送メインでOAを行い、史上最低視聴率を叩き出したのは記憶に新しいですが、私は生放送時代に約4ヶ月に渡りお手伝い。通常のADであれば「特番に4ヶ月も!?」と思うところなのでありますが、あのような巨大特番は準備期間と予算がハンパではないので、その4ヶ月のうち前半2ヶ月は「無駄じゃないか?」と思うくらいに連日会議を行います。会議の種類は全体会議から少人数の分科会まで度々行う為、その分増えていく資料の数々にADはそれぞれ頭を抱えます。いざロケや収録準備が始まると、バタバタの毎日。出演する芸能人が多ければ多いほど、芸能人本人の打ち合わせは増えますが、基本的に大型特番の一つのネタはADが3〜4人と少数の為、1日に打ち合わせが重なったら間に合わない可能性を考え、ロケADと打ち合わせ担当ADに別れて回すなど、実はギリギリの作業を迫られたりも。しかし、ディレクターやADとしてもどうにかして全ての作業を間に合わさなければいけない。収録の2週間前ともなればADはかなり精神的に追い詰められる日々を過ごすことになります。


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ADの給料はどのくらい?

ADの給料はピンからキリであるのが正直なところ。

固定している給料といえば就職後の数ヶ月の(初任給含む)給料で、基本的に相場は手取りで18〜19万円が平均。以降はADのやる気と番組からの評価や実際の出来高で給料が変動することになります。私もAD時代は「就職6年目」という就業期間とある程度の評価もあり、周りと比べると実は数10%くらい多く給料を貰っていた方でした。とはいえ私自身よりも遥かに高い給料を貰っている同期を発見したこともありますが…。

で、ADという仕事で、気になるところは次の点ではないかと。

残業代は出るのか?

ハッキリ言いましょう。残業した分の給料は月給に一切加算されません。私自身、この5年間の残業期間を時給換算した場合、(予想ですが)4〜5倍の給料を貰えているはずです。何故、こんなことが発生しているのかというと、「AD」という仕事に対する番組全体の意識問題も関係しているかと。ADのみならず、番組スタッフというのは「番組作りに関して、必要があれば社内泊などもやむを得ない」という古くからある意識が存在しており、当然ながら「残業」という概念そのものが存在しておりません。つまりは何時間残業したところで残業代は発生しないということもあり、契約で決められた月給以外は振込まれることはありません。

例外で発生する給料

上記の「残業代が存在しない」という衝撃の事実で、少しブルーになった方も居るでしょう。しかし、残業代かわりに…なのかは分かりませんが、固定の月給以外に取得出来る場合がある給料が存在します。それが、特番などの番組を数日手伝った場合の、所謂“お小遣い”的な給料。僕の周りの評価は(実際どうだったかは分かりませんが…)「全然手伝いますよ!」と軽返事で手伝うADであった為、上記の担当番組のADだけでなく、それ以外で複数の番組を、プロデューサーや知り合いのディレクターなどから以来され、番組の手伝いを担当しています。我ながらフットワークは軽かったワケです。軽返事で手伝うということが実際によかったかは正直分かりませんが、これにより数々のボーナス代わりの給料をゲットしています。正直、大金ではありませんが、残業代が存在しない分の給料を補填出来ているような感触もあり、臨時収入が決定した際は非常に嬉しい瞬間でもあります。ただこの臨時収入、大体が制作会社が関知していないことが多く、バレると最悪は解雇レベルの大目玉を食らう可能性もあるので要注意。何れにしても「周りからの信用」というのはとても大事なことです。

どうやってADになる?

上記にも少し書きましたが、制作会社に就職する場合は、学歴を重要視されることはほぼありません。また、年齢も特に重要視はされていないと思われます。

それでは、ADという仕事を就職するには何が必要なのか。

それは正直「やる気」以外の何者でもないかと。これさえ面接で伝えることが出来れば、あっさりADになることが出来ると思います。履歴書さえちゃんと書いていれば…。そのくらいザルで受かる業界であると思います。


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ADやテレビスタッフの「人間関係」

これ、良くも悪くも「体育会系」な雰囲気が根付いています。

例えば飲み会。「番組全体で飲むのも仕事」と言わんばかりに、仕事の進捗の状況を度外視で参加を強制されます。これ、ほとんどの番組がこの「飲みにケーション」が存在しています。この「飲みにケーション」が果たして正しいモノかは分かりませんが、私のような飲み会好きは人間関係構築が非常に楽チンであったりします。逆に、飲み会嫌いは最悪なコミュニケーションとなってしまうことでしょうが…。

性格が良い人は“ほぼ”存在しない

「自分は性格が良い」と自慢するワケではないが、仕事でもプライベートでも私は人の悪口や陰口をほぼ言うことがないです。単純に「お前は話のネタがないのか?」と思われたくないというのもありますが、その悪口・陰口が人間関係構築の弊害になるのが嫌だ、というのもあります。

ただ、このテレビという業界、飲み会というと悪口・陰口のオンパレードであり、基本的にスタッフの誰かをバカにしたり、「アイツは〇〇!」と陰口や噂を言い合ったりと、かなりブラックな話で盛り上がることが多い。なので、私自身は一回の飲み会で毎回かなりの体力を消費しているような感覚に陥ることがあります。例えば「アイツ嫌いなんだけど、いつ辞めるんだ?」とか。これに対して私は「そうっすね」しか返す言葉がない。まあ、癖のある人が多い分、しょうがないところとも言えます。なので、私はほぼ毎回「暗くなるので、話変えませんか?」と提案していたような気もします。

また、普段の作業においても、例えばディレクターなどは癖アリな人が数多い。悪く言えば短気な人が多いということです。例えば性格が暗いADなどはターゲットにされることが多く、その怒り方も正直尋常ではない。昔はあったという殴る蹴るなどの暴力がない分まだ良いですが、あまりにも頭ごなしに怒られるのを目撃して止めに入る、なんてことも経験上ありました。正直、これがADを辞めようと考えた原因の一つでもありますが…

とにかく性格の良し悪しは然もありなん、ADになるには強い意思と気持ちが必要なのでは?と思います。

信頼できる先輩の存在

当然ながらテレビに働く人たちは、みんなそれぞれ人間なので(体育会系的に)良い人は多い。とっても失礼な話だが、私は(生粋のパシリ体質もあり)そういう人たちに取り入られるのがいつ時も早かった為、上記の7つの所属番組の殆どで我ながら上手いことやっていたと思います。当然信頼出来る先輩が入れば、例えば失敗した場合もフォローしてもらえるし、上記のような臨時収入の段取りなどもある。つまり、そういう点に関しては、末っ子の甘えん坊は非常に向いているとも言えるかと。私のような。


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ADの適材

よく言われるのが、「夜に起きていられるか?」なんてこと。

今でこそ減ったが、ディレクターから夜に「俺、PCで編集するからデスクに用意しておいて」なんてことを言われることがある。これ「だから夜中一緒に泊まって、しかも起きてフォローしてね」という意味も含まれているワケです。当然シンドイけど我慢、寝てしまったとしてもディレクターに起こされてしまうワケで、編集が終わる朝方にはヘロヘロの状態になることが常。

つまりは体力勝負。私の個人的な感想を言うと、18〜20歳の頃に高校の友人に誘われて定期的に言っていたスポーツジムのお陰で体力的にカバー出来ていたのでは、なんて思ってもいます。連泊で連日寝れないなんて時もあり、ジムに行ってなければ下手したら死んでいたかもしれません。

体力と忍耐力は確実に必要

私自身、まともにやったスポーツというと、小学校時代に短期間通った「水泳」と中学校の時に「卓球」くらいで、基本的にスポーツのどれに関しても基礎がなっていない為、上記の2種目以外は、例えばサッカーでは無難にディフェンス、野球では外野など、「とりあえずそこに居といて」的な役割になることが多いです。ただ、この私、我ながら体力は人一倍あり、且つ睡眠時間も比較的に短い方なので、例えば連日寝れない…なんて時も上手いこと補填出来るという便利な身体を持っています。タレントは身体が資産、なんて言われますが、それは我々も同じ。父親は救命士だったので、そういう部分は上手いこと受け継いだのだろうと思います。

また、忍耐力も当然必要。ADという仕事は仕事量的にもスピーディーさを求められるので、例えば怒られた時など、それこそクヨクヨしている時間などは本当に「時間の無駄」以外の何者でもないのです。メゲないショゲないという“ガンコちゃん”精神は非常に大事。私は何事にも「まあ、しょうがないか」と思う節があるので、時としてこれが良い効果を発揮する時もあったり。例えば失敗した後に「これやって起きました!」なんてすぐ言うとか。社会人的にも多分心象が良いことだとは思いますが、テレビの人たちは基本的に単純な人が多いので、こんな基本的なことで「まあ、許してやるか」なんて雰囲気になったりもします。いずれにせよ、レスポンスが早いのは大事なことです。とにかくクヨクヨしてはいけません。些細なことを気にする時間は、ADにとって本当に無駄な時間です。

「理解力」と「判断力」と「想像力」

番組収録など、進行状況の良し悪しで当日にバタつくかバタつかないかが決まります。基本的にほぼバタついていますが。例えば、当日の収録で使用する台本(基本的にディレクターが作成)は収録の直前に完成…なんてことも多かったりします。本当に時間がないと、「こことこことここを直して…」なんて投げやりな直しを言われて、ADで台本を直すという状況になったりも。ここで最悪なのが、ADが直していざ収録…となった時に「全然違うじゃないか!」なんて状況になった場合。基本的なことでありますが、いかに電話や話を聞いている時のメモが重要か、ということでもあります。メモもそうですが、ディレクターの言っていることを、(緊急時であればあるほど)如何にして素早く理解するかは、ADとしての真価が問われているともいえます。

とはいえ、テレビ局のディレクターの口癖に多いのが「分かんないけどこんな感じ」、というような“イメージ”で指示を言ってくること。「〇〇って番組では分かんないけどこうやってた」なんて具体的なようなそうでもないようなイメージで言われても、見ていない時のその言葉の意味不明さは冷や汗しか出ません。そこで大事なのが判断力。こういう時ADに必要なのが、「おそらくこんな感じであろう」なんていう想像力なわけです。瞬時の判断は勿論必要ですが、瞬時に思いつけるイメージ能力も当然重要。これにはサブカル的な、今までの生活で培ってきたエンタメ作品などへの知識や造詣がとても役に立ちます。私自身はサブカル魔人であったこともあり、自分の知識・造詣に助けられたなんてことも多かったです。


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ADの拘束時間

「給料」の項目でも述べた通り、この仕事には“残業”という概念が存在しておりません。また。番組により忙しさも異なる、というのは一番最初に述べた通り。

ヒマな番組の場合

ヒマな番組は大抵土日が休める場合が多いように感じます。普通の社会人であれば「土日休日は普通じゃん」なんて思うかもしれませんが、このADという仕事、祝日を含む平日は基本的に出勤となります。今や電通騒動もあり、「休める時は休む」という意識が発生してますが、それがあっても“平日”は基本出勤。ただ、週休2日はよほどのことがない場合しっかり取れているイメージです。

忙しい番組の場合

忙しい番組となると、最早“残業”という概念を超えて、“休日”という概念すら存在しなくなります。電通騒動もあり、基本的に休みを取れ…なんて表面上はなっているものの、ADが自身で持つタスクが達成出来ていない場合、その分休みが削られて就業時間も増えていくことになります。さらに休みだけでなく、追い詰められると何日も何日も宿泊するハメに…。ジョブ太郎くんが「労基に引っかかるのも時間の問題」とブログで言っているのはこの部分で、今後槍玉に挙げられることになるだろうと私は予想しています。

芸能人と仲良くできる?

仕事をしているとプライベートの友達から言われる事が多いのが、「芸能人は誰を見た?」だとか「誰と話をした?」なんて事。私は最近はそのクエスチョンを聞かれすぎて、非常に面倒な会話に感じているのでかなり適当に回答するのですが、当然私だけでなくADをやっている人たちは同じような悩みを感じているはず。ミーハーな例外ADも居ると思いますが。

最初に言うと、仲良くなんて出来ません。

もっと言えば、会話もほぼ出来ません。

芸能人の前に立てるのはディレクターや演出。散々申している通り、ADはその末端に過ぎません。例えば、このブログを読んでくださった方で、知り合いにADが居る場合、そのADが「俺、アイドルの〇〇と喋ったよ!」なんて自慢をしていたとしましょう。ハッキリ言うと、それは絶対にウソだ。喋れるタイミングがあるワケがない。

なので、僕は就職した最初期の頃から、周りに「見るけど喋れないよ」とちゃんと言っていました。喋れる…というか打合せ出来るのは最低でもディレクターという職種ワケです。ADが芸能人の打合せ場所を段取る…なんてことは良くありますが、打合せそのものを段取るということは絶対にありません。


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勿論、例外的に喋れる時もある

じゃあ、一切コミュニケーションがないのか、というとそういうワケではありません。唯一と言っていい喋れるタイミングというのが、芸能人と同行する屋外ロケでの空いた時間。その空いた時間を確保出来るかはADの腕に掛かっていますが、おそらく私が知りうる限り、怒られもせず芸能人と話す事が出来るのはそのタイミングしかありません。そもそもロケ時においての“空き時間”という存在自体20〜30回ロケがあって1回あるかないか、くらいの確率です。しかも、スタッフと芸能人の会話に割って入るくらいの勇気が必要。例えばディレクターが「こいつ(AD)はエッチなお店が好き何ですよ〜」みたいな時の会話のパスなどは、一番ナイスなタイミングではあるかと。ただ、上記でも申している通り、会話は未だしも仲良くなるなって以ての外で出来ません。仲良くなりたければ周りの人を死ぬ気で蹴落として早くディレクターになりましょう、という話なのです。

ADはモテるのか?

前述した通り、ADが芸能人と喋れる機会はほぼありません。とはいえ、片足だけでも芸能界に頭を突っ込んでいる以上、芸能人を見る機会は、一般の人と比べると当然ながら格段に多いワケです。そして、取材先や取引先の情報を多くゲット出来るので、よほどのコミュ障でなければ会話に困るということはほとんどありません。それで、男性・女性を上手く言い寄れるかは、その人の会話ややり取りの腕次第だと言えます。なので、例えば初対面の異性にはとても異色の存在であることをアピール出来る職業であるかと思います。

一般人の異性の反応

女性は特に「あの芸能人ってどうなの?」って会話をする場合が多い。私は男性である分その会話を散々しましたが、前述の通りその会話すら嫌だ、なんて状態になっています。だって会話も出来なければ、その芸能人に関する情報などネットの表面上の話とスタジオで見た感想だけなのだから。

しかし、この部分を上手いこと言うのはADとしてかなりの武器になると思います。私が例えば本気のアイドル好きなのであれば「〇〇って芸能人は台本をちゃんと読んで、ちゃんとリアクションをする」というような一言だけでも、よりそのアイドルが好きになるだけでなく、その情報元であるADに対しても好意を抱くことは間違いないでしょう。私としてはあまりにも姑息であると感じますが、ADをやっている以上モテたければこれが武器になることは間違いないです。

同業種の恋愛はある?

実はAD同士の恋愛、無くはない。とはいえ、私の5年間の就職期間中、それと確実に恋愛していると判断したのは僅か2回のみですが。時期はそれぞれ別です。

注意しなければいけないのが、このADという仕事。小綺麗なADなど本当に少数しか居ないように感じます。かく言う私も20歳前後の頃はオシャレにも気を使って居たものの、今じゃ体重増加に加え基本的にTシャツorパーカーである為、若き頃のオシャレの気遣いなどなりを潜めたと言って語弊はありません。

ただ私が目撃したこの2組のカップルは例外的に小綺麗な若者で、この2組は恋愛をしてから何をしたかというと、発覚してから程なくして辞めていったのです。当然、このADという仕事自体が足枷になっていたので辞めたのは言うまでもありません。結論としては、AD同士での恋愛はあるが恋愛を続けるには向かない、ということです。


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ADという職業の「メリット」

他の仕事と比べても犠牲になるモノが多いのが、この「AD」と言う仕事。とはいえ、マイナスだけ言っても就職の参考にはなりません。では、このADという仕事のメリットは何ななのか?それは以下です。

必要なモノを割と安価で手に入れられる

ADという仕事は普通の社会人と比べると肉体仕事のようであるかと思われるだろうが、実際は逆です。いつまでWordとExcelをまとめてんだというくらい書類を作るのがADという仕事で、このADという仕事はそれらWordとExcelが無ければ、そもそもADという仕事が成り立ちません。実は私は就職当時、大学時代に使用していたパソコンがぶっ壊れていた時期でした。その為、パソコンを買うということをどうしようか悩み、安価のMacbookを購入したのですが、Macbookがご存知の通りMacにはWordとExcelが入っていない。ということで同期たちと結託して、割り勘でMacbook用のOfficeソフトを購入するという暴挙に出て成功しました。料金精算の際に若干プロデューサーから叱責を受けるものの、計画は無事成功しました。

この精算というシステムは(現在でも)本当にザル状態で、ADという総合的な役割を担う仕事の都合上、「このロケにはこの物品が必要」というちゃんとした言い訳(ウソ)があれば、必要なものを購入する事ができる。「文房具」「グルメ」「日用品」、それら全てのものがちゃんとした言い訳で購入な可能なワケだ。ただ、値段が高ければ高いほど、言い訳が通用しなくなるので、購入はほどほどに。

人間関係をちゃんと構築していれば良い事がある

前述した通り、この仕事には上手く仕事をすれば良い事がある。例えば「臨時収入」。当然、その付き合いの分で貰える給料は変動すると言っても過言ではないでしょう。

その臨時収入を貰うのも、その臨時収入を増額させるのも、基本的にはその人の信頼度にかかってきます。

映像の「編集」という作業の重要さが分かる

個人的な感想ですが、ユーチューバーの動画を見ると毎回直したい衝動に駆られる。どういうことかというと、編集が余りにも気持ち悪く見辛いということだったり、テロップが認識出来ない内にすぐに表示が消えたり…。何なら全編アイキャッチのような編集をしているユーチューバーも居るが、あれはどういうことなのだろうか、という思うこともあります。

しかし、死ぬほど編集に入っている分、例えば「認識出来ない秒数の映像は使えない」だったり、「テロップは基本的に1秒以上」だったり、基礎的なこともさる事ながら、上手い編集の仕方なども安価…どころか無料で学べるワケです。自分が学生時代に趣味で作成した動画と最近作った動画をアタマ10秒で比べても、短い秒数でもその差はハッキリと分かるくらいです。

良く上司のディレクターに「早くディレクターになりたければ、俺の様々な部分を見ろ」と言われてましたが、おそらくそういう部分を学ぶ事がディレクターへの第一歩とも言えます。


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ADという職業の「デメリット」

どんな仕事でもそうですが、当然この仕事にもリスクは付き物です。もっと言うとこのADという仕事は「ハイリスク」且つ「ローリターン」と言っても良いくらいデメリットもある。ということで以下。

時間や休日が削られる

前述の通り、祝日という概念が存在せず、最も土日も毎週確定で休み…というわけではありません。当然ながら学生時代の友人などに会う日や時間も限られてくるワケですが、会う時間が減れば減るほど友人の交流が少なくなるのは、正直しょうがない…と言ったところでしょうか。休みが確定していない分、ドタキャンも多くなるので心は痛くなることも。また、当の休みであってもロケ後で睡眠しておらず、自分でも体調に愕然とする日だとまた最悪。ADにはそういう部分があるということをある程度覚悟する必要もあるかと。

何かしらの体重変動がある

かく言う私、ADを初めてから体重がおよそ30kg増えた。元々、少食で甘い物が嫌い(と言うより偏食)で、何故太ったかは原因は不明…とも言いたいところだが、AD時代の自分の食歴を辿れば結構食べていたと思います。

というのも、私の少食の食事情でいつの日に限ってもいっぱい食うということはありませんでしたが、食べる回数があからさまに増えていたのです。1日5〜6回とか。よくよく考えれば増えるに決まってんじゃん、という感じの食生活でありました。人間はストレスを感じると食が増える、なんてのは良く言う話ですが、まさか自分がそうなってしまうとは。

性格が変わる人がいる

「性格が変わる」ってどういうこと?と思うかもしれませんが、本当に読んで字の如くです。幸いなことに私はそうではありませんでしたが、このストレスと偏屈者に塗れたADという職業、そのような影響下からか人格そのものが変わったんじゃ…なんて人も現れる。

例えばめちゃくちゃ暗かったのに、いつの間にかチャキチャキの気が強い感じの性格になっていたりだとか。これは実際にあった一例なのですが、当時は本気でビックリしてしまったワケです。「ど…どうしたんだ…」と。

良くも悪くもこのADという仕事、「気が強い」か「忍耐力がある」かのどちらかでないと、ワークバランスが持たないともいえる。幸い私は「忍耐力」があった分、性格はそのままに生きる事が出来たと思う。逆にその「忍耐力」がないと「気が強く」なるのではないか、というのが私の分析です。

まとめ

さて、最初に申しあげた通り、私は今年ADという仕事を辞めてしまった。私には「この仕事は天職かもしれない」なんてことを思った時期もありますが、「この仕事に夢もクソも」と思った人間の行動はとても早い。ただし、個人的にはとても面白い仕事であったと自認はしています。ここでは書けなかった数多くの思い出は割と掛け替えのないエピソードではあります。「もう一回ADをやれ」と言われたら、絶対にやりませんが。


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人生の「主役」はあなたです

BANANA SCOOTER’Sの用心棒兼コンポーザー。元民放テレビ局AD。自称・関東イチ映画とテクノ・ミュージックを愛する男。ダイエット中。またサブカルチャーへの造詣もかなりのもんです。趣味はディスクユニオンでポンコツCDを購入すること、どうでも良いことに対しての長い作文作成。

故にそんなブログを書くと思います。

しょうもない内容の記事が多いですが、本人曰く「至って真面目」に“しょうもない記事”を書いているとのことです。

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